
フレグランスナビゲーターのSHUNです。
前回に続き、今回もThe Different Companyのお話です。
11月に発売された最新作「アジ アルダラ」、こちらも含めて今年発売されたTDCは2つあるのですが、そのどちらもビジュアル面、ボトルデザイン面で今までのTDCとは違ったアプローチをしている、これがまず第一印象でした。
今までは割とシンプルなビジュアル、ボトルも透明ガラスだったところ、その辺りをガラッと変えてきた、そこでまずインパクトがあったのではないかと思います。
5月に発売された「Love is coming chapterⅡ」は、ラブレターを受け取った時のピュアでロマンティックな印象ということで、自然の中に佇むハッピー感のあるピンク色のポストがビジュアルに描かれており、ボトルはその情景をそのまま写し取ったかのような3層カラーでした。
今回の「アジ アルダラ」は、ドラゴンが美しい人間の女性に姿を変えて人々を惑わすエリクシールを作り出した・・・ということで、変身途中のようにスモークが炊かれ、鱗が付いている人の手が大きくフォーカスされているという、何ともダークで妖しげな雰囲気が醸し出されています。そして、ボトルカラーはダークブルーに煌びやかなゴールドキャップ。
どちらもともに新しいTDCを見せてくれているようで、期待感も高まりますし、個人的にはとても面白く感じています。こういったビジュアル面、ボトルデザイン面の変化はブランドスタートの2000年から25年経過し、次のフェーズへ進んでいくという意思の表れ、あるいは一つの転換点を迎えたということなのかもしれません。
では、この「アジ アルダラ」の香りは一体どのようなものなのか?ですが、端的に言ってしまうと、ビジュアル通りの妖しさで、そして掴みどころがなく、よくわからない、でもなぜか惹かれてしまう、です。この“掴みどころがなく、よくわからない”というのは、決してマイナスのイメージではなく、「アジ アルダラ」を語る上で大きいポイントになると個人的には思っています。
ストーリーそのものは完全なフィクションであり、そのストーリーに合わせて調香師のエミリー・コッパーマンがクリエイションしたのですが、ドラゴンが作り出した人々を惑わすエリクシールとは何なのか?を考えてみると、様々な要素が見え隠れしつつも、その実体ははっきりと見えない、それがつまり“掴みどころがなく、よくわからない”雰囲気に繋がっており、それなのにも関わらずどうしても気になってしまい、後ろ髪引かれるように、いつまでも忘れられない、虜にさせるような妖しさを放っているのです。
フルーティ、スパイシー、ウッディ、スモーキー、バニラといった要素が重なり合うだけでなく、ドラゴンスケール(鱗)をイメージした香りなど、公表していない香料も数多く含まれているため、そのような部分が妖しさをさらに高めており、香りを通して、ドラゴンが人々を支配し意のままにしていく、その混沌としたダークな世界へと導かれているような気もしてきます。
実体験として、よくわからないけれど、なぜか惹かれてしまうという経験は誰しも一度はあるのではないかと思いますが、実際に私も身の回りを見渡すとなぜこれを手に入れてしまったのか、本当に自分でも全くわからないものが色々転がっていたりします。でも、それももしかしたら「アジ アルダラ」のように、何者かに引き寄せられて、魅せられてしまったからなのかもしれない、そう思うと不思議と納得できる(納得させられている)気がします。
伝説上の生物ドラゴンが人間に姿を変えて、エリクシールによって人々を惑わし支配していくダークファンタジーの世界、そして一度魅了されてしまうと離れられない「アジ アルダラ」の香り、ぜひお近くの店舗で試してみてください。

※コメントは承認制となっておりますが、お気軽にお寄せください!